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【消費税はもう払いたくない。】登録取消しの手続きと「2割特例」利用者が知るべき注意点

2025-07-23 21:51:48
目次

こんにちは。高円寺の税理士「大勝税理士事務所」です。

「インボイス制度の開始に合わせて、とりあえず登録はしたけれど、うちの事業には必要なかったかもしれない…」

インボイス制度の開始から時間が経ち、ご自身の事業の状況を見直して、このように感じている事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • 取引先からインボイスを求められることがなかった

  • お客様が一般消費者や免税事業者ばかりだった

このような場合、インボイス登録を取りやめて、免税事業者に戻るという選択肢があります。

この記事では、インボイス登録を取りやめるための具体的な手続きと、多くの方が利用している「2割特例」との関係で、特に注意すべき点について分かりやすく解説します。

インボイス登録は取りやめ(キャンセル)できる!その手続きとは?

一度インボイス(適格請求書発行事業者)として登録しても、所定の手続きを踏むことで、その登録を取り消し、免税事業者に戻ることが可能です。

どんな場合に登録を取りやめても良い?

インボイス登録が不要と考えられるのは、主に以下のようなケースです。

  • 顧客が一般消費者のみのBtoC事業(美容室、飲食店、学習塾など)

  • 取引先が免税事業者や簡易課税制度を利用している事業者のみで、インボイスを求められない場合

  • 事業形態の変更などにより、今後もインボイスの発行を求められる見込みがない場合

ご自身の取引状況を鑑みて、インボイス登録の必要性が低いと判断した場合は、登録の取り消しを検討してみましょう。

具体的な手続き方法

インボイス登録の取り消しには、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を、納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。

  • 提出書類: 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書

  • 提出方法: e-Tax または 税務署へ郵送・持参

  • 提出期限: 登録の取り消しを受けたい課税期間の、翌課税期間の初日から起算して15日前まで

【重要ポイント】 届出書を提出しても、すぐに免税事業者に戻れるわけではありません。登録の取り消しの効力が発生するのは、届出書を提出した日の属する課税期間の、翌課税期間からとなります。 つまり、取消しの届出書を提出した課税期間中は、引き続き課税事業者として消費税の申告・納税義務がありますのでご注意ください。

早くインボイス制度を止めたい!!という方は、消費税課税期間短縮届出書を提出すると、期末まで待たずに止めることができます。

参考:国税庁|適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書

【要注意!】2割特例を使っていると「課税期間短縮」は利用できません

インボイス登録を機に課税事業者になった多くの事業者が、納税額を売上税額の2割に軽減できる「2割特例」を適用しているかと思います。この2割特例には、一つ大きな注意点があります。

それは、「課税期間の短縮」という制度と併用できないことです。

インボイス制度が始まってから消費税を納め始めた個人事業主は年が終了するまでは止めにくいでしょうね。

法人でしたら事業年度変更をして止めることができますね。

【こんな方は特に注意!】 もし、2割特例の適用期間中に、高額な設備投資(例:店舗の改装、高価な機械の購入など)を予定している場合、多額の消費税を支払ったとしても、課税期間を短縮して早期に還付を受けることはできません。還付を受けられるのは、1年間の課税期間が終了し、確定申告を行った後になります。

資金繰りにも影響する重要なポイントですので、大きな投資を控えている方は、ご自身の状況を慎重に検討する必要があります。

まとめ

  • インボイス登録は、「登録の取消しを求める届出書」を提出することで取りやめることができます。

  • 登録を取りやめるタイミングは、翌課税期間の初日から15日前までの届出が必要です。

  • 「2割特例」の適用を受けている期間は、消費税の早期還付につながる「課税期間の短縮」は利用できません。高額な設備投資などを検討している方は特に注意が必要です。

インボイス登録を取り消すかどうかは、ご自身の事業の将来的な展望も見据えて慎重に判断することが大切です。 ご自身の判断に不安がある、手続きについて詳しく知りたいという場合は、ぜひ一度、税務の専門家である税理士にご相談ください。

この記事を書いた人

大勝税理士事務所

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