こんにちは。高円寺の税理士「大勝税理士事務所」です。
個人事業主の皆さま、今年も残すところあとわずかとなりました。年間の売上や利益が見えてくるこの時期、頭を悩ませるのが「年内の利益をどう確定させるか」という点ではないでしょうか。
税金は利益に対して課税されます。そのため、年内の事業に必要な支出を行うことは、節税と事業基盤強化を両立させる賢い方法です。
本記事では、年内の利益を圧縮するために「年内の支払い完了」が要件となる経費、特に消耗品費や少額減価償却資産に絞って、11月・12月に取るべき最終チェックポイントを税理士が解説します。
1. なぜ年内に経費計上を済ませるべきか?
個人事業主の所得税は、基本的に1月1日から12月31日までの1年間の利益に対して計算されます。
この「利益」を確定させるためには、年内(12月31日まで)に支払い義務が発生・完了した支出をその年の経費として計上しなければなりません。
メリット: 年内に必要な投資や仕入れを行うことで、その年の利益が圧縮され、結果的に納税額を抑えることができます。
注意点: 経費として認められるのは、あくまで「事業に必要な支出」のみです。不要なものを買うのは、単なる資金の浪費になります。
2. 最終チェック!年内に支払い完了が必要な経費
年内にアクションを起こせば、今年の経費として計上できる具体的な項目を見ていきましょう。
2.1. 消耗品費・備品費(10万円未満)
最も手軽に経費化できるのが、事務用品や日用品など、使って消耗する物品です。
具体例: パソコンのインク、コピー用紙、文房具、清掃用品、書籍、プリンター、デスクなど。
チェックポイント:年内に納品と支払いを完了させ事業に使うこと。 12月31日までに手元に届き、決済が完了している必要があります。(クレジット決済の場合も引き落とし日ではなく、決済日に注意。)
2.2. 「少額減価償却資産の特例」を活用する
パソコンや高機能な機器など、本来は数年にわたって経費化(減価償却)するものを、一括で経費にできる特例です。
対象となる資産: 取得価額が30万円未満の減価償却資産。
メリット: 青色申告者であれば、この特例を利用し、年間300万円を上限として、全額をその年の経費にできます。
最終チェック:
必ず年内に納品・事業供用すること。 支払いが済んでいても、年内に事業で使い始めていなければ特例は適用できません。
領収書・請求書に「資産名」「金額」が明記されているか確認しましょう。
2.3. 年払いに切り替える経費
月払いにしているサービスや保険料を、年払いに切り替えることで、年内の経費を増やすことができます。
具体例: 事業用で利用しているサーバー代、ドメイン代、クラウドサービス利用料、火災保険料、共済掛金など。
最終チェック:
年内に支払い(決済)を完了させる。 振込の場合は年内の銀行営業時間内に完了させる必要があります。
支払い期間の注意: 支払い期間が翌年以降に及ぶ場合でも、短期前払費用として年内に全額経費にできる場合があります。(ただし、継続的に同じ処理をすることなどの要件がありますので、事前に税理士に相談してください。)
3.駆け込み計上で失敗しないための注意点
最後に、慌てて経費化しようとしてミスをしないための重要な注意点です。
3.1. 請求書の日付ではなく「支払い」と「納品」の日付を確認
購入日が12月でも、納品が年明けの1月になってしまうと、原則として来年の経費になります。
特に高額な機器や在庫は、注文から納品までのリードタイムを逆算して手配しましょう。
3.2. クレジットカード決済の処理に注意
クレジットカードで年内に決済した場合、引き落としが翌年1月や2月になっても、決済が完了した日(年内)の経費として計上できます。
ただし、必ず決済日を確認できる書類(利用明細など)を保存しておく必要があります。
3.3. 「事業性」の証明を明確に
自宅兼事務所の場合、購入した物品が事業用か私用か曖昧になりがちです。
誰が見ても事業用だと分かるように、領収書の裏や摘要欄に「〇〇事業で使用」と明確にメモを残すことが望ましいです。
4. まとめと行動の呼びかけ
11月は、年内の利益を見極め、最後の節税対策を打つための重要な月です。
特に消耗品費や少額減価償却資産は、年内に支払いが完了すれば経費となるため、設備投資を検討していた方はこの際に確認してみてはいかがでしょうか。
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