こんにちは。高円寺の税理士「大勝税理士事務所」です。
12月に入り、年末ムードが高まってくると同時に、経理担当者や経営者の方の頭を悩ませるのが「出費の処理」です。忘年会、お年玉、得意先への贈答品など、この時期は特に交際費や福利厚生費に関連する支出が増えます。
「これって経費になるの?」「交際費と飲食費の線引きが曖昧で…」と迷っていませんか?
本記事では、特に曖昧になりがちな「飲食費」と「交際費」の税務上のルールと、年末年始の典型的なケーススタディを分かりやすく解説します。
1. 年末年始の出費、経費処理で間違えやすいポイント
年末年始は、通常の事業経費に加え、感謝やねぎらいの意を込めた支出が多くなります。これらの出費を適切に経費として計上できるかどうかで、最終的な納税額が変わってきます。
重要な前提として、すべての出費は事業に関連するもの(業務遂行上必要)であることが大前提です。プライベートな支出と事業上の支出をきっちり区別するところから始めましょう。
2. 基本解説:飲食費と交際費の税務上の違い
まず、飲食費と交際費が税務上どのように扱われるのかを理解しましょう。特に法人の場合、交際費には損金算入額の限度額があるため注意が必要です。
2.1. 交際費の定義と原則
交際費とは、得意先や仕入先、その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答、その他これらに類する行為のために支出する費用を指します。
区分税務上の取り扱い中小法人 (資本金1億円以下):以下の有利な方を選択して損金算入が可能です。
1. 年間800万円までの交際費
2. 接待飲食費の50%
個人事業主:事業に関連するものは全額経費(ただし、事業主個人の飲食費は除く)。
2.2. 会議費/飲食費として処理できる例外(全額経費のポイント)
法人にとって最も重要なのが、交際費の例外規定である「1人あたり10,000円以下の飲食費」です。
接待飲食費であっても、1人あたり10,000円以下であれば「会議費」として全額損金算入できます。
この特例を使うためには、領収書のほかに以下の事項を帳簿に記録しておく必要があります。
飲食店の名称、所在地
飲食等に参加した者の氏名、会社名、関係
その飲食の年月日、金額
3. 📝 経費にするための3つのチェックポイント(証拠の残し方)
税務調査で経費を否認されないために、出費があった際に必ず守るべきルールがあります。
1. 事業関連性の明記
単なる「飲食代」として処理するのではなく、領収書の裏や会計ソフトの摘要欄に、少なくとも誰と行ったかを具体的に記載しましょう。いちいち調査時に誰と飲みに行ったかなんか覚えてないです。昨日の夕食ですら覚えていないです。
2. 10,000円基準の証拠
法人で1人あたり10,000円以下の飲食費(会議費)として処理する場合は、参加者全員の氏名、役職、会社名などの詳細な記録を必ず保存してください。参加者のメモがないと、交際費として処理せざるを得なくなります。
3. プライベートとの分離徹底
事業主や家族だけの飲食費・贈答品は、いくら「事業の話をした」としても経費ではありません。私的な支出と事業上の支出を明確に区別し、レシートも分けて保管する習慣をつけましょう。
5. まとめ
年末年始の出費は、「誰と」「何のために」「いくら使ったか」という3つの要素が経費判断が大切です。
特に法人の場合は交際費の損金算入限度額を意識し、1人10,000円基準を有効活用することで、賢く経費処理を行いましょう。
年末の慌ただしい時期に、処理を間違えてしまうと後々の修正が大変です。今年の経理を始める前に、あなたのケースが経費になるか見直しましょう。
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