
6月中旬、税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」が届き、その金額に驚いていませんか?
「昨年は業績が良かったけど、今年は売上が落ち込んでいる…」 「廃業したのに、なぜ納税通知が?」
ご安心ください。前年の所得を基に計算される予定納税は、今年の状況に合わせて減額してもらえる可能性があります。それが「予定納税額の減額申請」です。
この記事では、あなたが減額申請できるかどうかの「条件」と、具体的な「手続き」をピンポイントで解説します。
1. そもそも「予定納税」とは?
まず、予定納税とは「前年の所得税額が15万円以上だった場合に、今年の所得税の一部を前払いする制度」です。税務署は「昨年の実績から見て、今年も同じくらいの所得があるだろう」と仮定して税額を計算し、通知してきます。
しかし、ビジネスの状況は年々変わるもの。その"ズレ"を是正するのが減額申請です。
2. 減額申請ができるのは、どんな人?【重要条件】
減額申請ができるのは、単純に「資金繰りが厳しいから」という理由ではありません。「今年の所得税の見積額が、税務署から通知された予定納税基準額よりも明らかに少なくなる」と見込まれる場合です。
具体的には、以下のようなケースが当てはまります。
業績不振:売上が大幅に減少した、大きな取引先を失ったなど。
廃業・休業・転業:年の途中で事業をやめた、または長期間休んでいる。
災害・盗難:災害や盗難によって事業用の資産に大きな損害を受けた。
医療費の増加:高額な医療費が発生し、医療費控除が受けられる見込み。
控除額の増加:配偶者控除や扶養控除など、受けられる所得控除の額が増えた。
これらの理由により、今年の所得が前年より大きく下がる見込みの方が対象となります。
3. いつまでに申請が必要?【絶対厳守の期限】
減額申請には厳格な期限があります。これを過ぎると受け付けてもらえません。
申請対象申請期限
・第1期分・第2期分の両方を減額したい場合7月15日 まで
・第2期分のみを減額したい場合11月15日 まで
※申請期限の日が土・日・祝日の場合は、その翌日が期限となります。
第1期分(7月末納付)から減額したい場合は、7月15日までに手続きを終える必要があります。 期限は非常にタイトなので、通知書が届いたらすぐに行動しましょう。
4. どうやって申請する?【手続きの3ステップ】
手続きは以下の流れで進めます。
ステップ①:申請書の準備
まず、「予定納税額の減額申請書」を入手します。 国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、所轄の税務署で直接受け取ることができます。
ステップ②:申請書の記入
申請書には、主に以下の内容を記入します。
納税者の情報:氏名、住所、整理番号など。
通知された予定納税額:通知書に記載の金額を転記します。
申告納税見積額の計算:ここが最重要ポイントです。 今年の所得金額や所得控除額をご自身で見積もり、そこから算出される所得税額(見積額)を計算します。
申請の理由:「なぜ所得が減るのか」を具体的に記入します。 (例:「主要取引先である〇〇社との契約が3月末で終了し、売上が前年比50%減となる見込みのため」など)
ステップ③:提出
作成した申請書を、ご自身の納税地を所轄する税務署へ提出します。
e-Taxで提出:申請書をイメージデータ(PDF)にして、e-Taxソフトから送付できます。マイナンバーカードがあれば便利です。
郵送で提出
税務署の窓口へ持参
5. 申請が承認されたらどうなる?
申請書を提出後、税務署での審査が行われ、結果が書面で通知されます。
承認された場合:「承認通知書」が届き、減額された税額を納付します。
却下された場合:「却下通知書」が届き、当初の予定納税額を納付する必要があります。
まとめ
予定納税の通知に慌てる必要はありません。今年の業績が前年と比べて明らかに悪化しているなら、ためらわずに「減額申請」を検討しましょう。
【重要ポイントのおさらい】
条件:今年の所得が前年より明らかに減る見込みであること。
期限:第1期分から減額したいなら7月15日まで。
手続:「減額申請書」に具体的な理由と見積額を記入して提出。
期限が短いため、早めの対応が肝心です。もしご自身での見積額の計算や手続きに不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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