こんにちは。高円寺の税理士「大勝税理士事務所」です。
前回、相続税の申告が必要な場合について書きました。
今回は、相続税の申告が不要な場合どうなるの?について書きたいと思います。
早速ですが、相続税の申告が不要な場合でも、相続手続き自体は必要になります。
相続税がかからない(=申告が不要)ということは、「税務署への手続きが不要になる」という意味であり、「相続財産の名義変更などの手続きが不要になる」という意味ではないからです。
相続税が発生しない場合の、一般的な相続手続きの流れとポイントを解説します。
🏠 相続税ゼロでも必要な「相続手続き」のポイント
相続税の有無にかかわらず、故人(被相続人)の名義になっている財産(預貯金、不動産、株式など)を、相続人へ正式に引き継ぐための手続きが必要です。
1. 遺産の調査と相続人の確定
まず、すべての相続手続きの土台となる部分です。
相続人調査(戸籍の収集): 亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を取得し、誰が法定相続人であるかを確定します。これは、預貯金や不動産の名義変更にも必ず必要になります。
財産調査: 不動産の登記簿謄本、預貯金の残高証明書、生命保険の契約内容などを集め、遺産全体を正確に把握します。
2. 遺産分割の話し合い(遺言書がない場合)
遺言書がない場合、または遺言書に記載されていない財産がある場合は、相続人全員で「誰がどの財産をどれだけ受け継ぐか」を話し合って決定します。
📝 遺産分割協議書は必須!
相続税がかからない場合でも、この話し合いの結果をまとめた「遺産分割協議書」の作成は強く推奨されます。
・不動産の名義変更 不動産(土地・建物)の名義変更(相続登記)をするには、原則として遺産分割協議書が必須です。
・預貯金の解約・名義変更 金融機関によっては、遺産分割協議書の提出を求められることがあります。
・将来のトラブル防止 相続人全員が合意した証拠として、後になって「言った」「言わない」の紛争を防ぐために非常に重要です。
3. 各種財産の名義変更・解約手続き
遺産分割協議書(または遺言書)の内容に基づき、各財産の名義変更や解約手続きを行います。
不動産の相続登記(名義変更):
法務局で手続きを行います。
2024年4月1日から義務化されており、取得を知った日から3年以内に申請が必要です。
登録免許税(固定資産評価額の0.4%)などの費用はかかりますが、これは相続税とは別です。
預貯金(銀行・証券会社):
各金融機関に、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)、所定の申請書などを提出して手続きを行います。
自動車、株式、その他:
それぞれの管理機関で名義変更手続きを行います。
4. その他必要な手続き(期限あり)
相続税の申告とは別で、期限が決まっている重要な手続きもあります。
遺言書の検認:遺言書を発見したら速やかに。自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で検認が必要です。
相続放棄:故人の死亡を知った日から3ヶ月以内。借金などマイナスの財産が多い場合に検討します。家庭裁判所での手続きが必要です。
所得税の準確定申告:故人の死亡を知った日から4ヶ月以内。故人に収入があった場合(年金収入など)に、代わりに所得税の確定申告をする必要があります。
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💡 まとめ:税金がかからなくても手続きは進めるべき
相続税の申告義務がない場合でも、財産をスムーズに次の世代へ引き継ぐためには、上記のような手続きが欠かせません。
特に、不動産の相続登記は義務化されましたので、「相続税がかからないから何もしなくていい」ということはありません。
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